Creo Parametric 角柱に巻き付いたコイルバネを作成する方法

記事の概要

皆さん、こんにちは。

旭エンジニアリング製品技術チームの村井です。

今回は、角柱形状の、押出しサーフェスに沿って、コイルバネを作成する方法をCreo4.0を用いてご説明いたします。
角Rのない角柱形状と、角Rがある角柱形状での作成例を示します。
なお、スイープ形状の断面を円形以外の形状にすることにより、コイルバネ以外の形状も作成可能です。

角Rのない角柱形状に巻き付いたコイルバネ

この資料で示すように、角Rのない角柱形状に巻き付いたコイルバネを作成することは可能ですが、
角部の大きさ、コイルバネの直径等の条件によっては、角部でフューチャーエラーが発生する場合があります。
その場合は、角Rがある角柱形状に巻き付いたコイルバネの作成方法をご利用下さい。
この資料では、角柱として断面が五角形の角柱を例に作成方法を示します。

〔１〕押出しサーフェス形状の作成

例として、パレットを利用して、図の様な断面が五角形の押し出しサーフェス形状（五角形は1辺が20mm、高さ70mm）を作成します。
形状が判別しやすくなるように、フィルター＞キルトにて五角柱の外観を赤に変更します。

〔２〕事前準備

データム平面：RIGHTとFRONTの交差位置にデータム軸A_1を作成します。
五角形の中心から、一番離れている部分の距離（17.0130mm）と、一番近い部分の距離（13.7638mm）を確認し、その長さの差が約3.2mmであることを確認します。
この距離は、後述のヘリカルスイープの断面形状に利用します。

〔３〕らせん状スイープフィーチャーの作成

グラフィックウィンドで「隠線」表示に切り替えます。
モデルタブ＞形状グループ＞スイープ＞ヘリカルスイープをクリックします。
ダッシュボードの参照タブを開き、ヘリカルスイーププロファイル＞定義をクリックし、スケッチ平面としてデータム平面：RIGHT を参照としてデータム平面：TOP、回転方向：上＞スケッチをクリックします。
スケッチタブ＞設定グループ＞参照＞エッジF5 を選択＞閉じるをクリックします。
スケッチタブ＞スケッチグループ＞線のチェーンをクリックし、上から下にエッジF5の上に、図の寸法の垂直な線を作成＞OK をクリックします。
ダッシュボード＞ピッチを8.0＞サーフェスとしてスイープをクリックします。
ダッシュボード＞参照タブ＞回転軸＞[2](1)で作成したデータム軸A_1 をクリックします。
ダッシュボードにてスイープ断面をクリックし、スケッチグループ＞線のチェーンをクリックし、下図のように上記の垂直線の端点を通過する寸法値の水平線を作成します。
この寸法は、先の[2](2)に従って五角形の断面中心から、一番離れている部分の距離（17.0130mm）以上かつ、
一番近い部分の距離（13.7638mm）以下となる水平線であり、五角形の全ての側面を貫通する水平線になっています。
OK にて、スケッチを完了します。
下図のようならせんサーフェスが表示されます。ビューの角度を変更して、らせんサーフェスが五角柱の全ての側面を貫通していることを確認します。
グラフィックウィンドで「エッジ付きシェード」表示に切り替えます。
終了をクリックし、ヘリカルスイープを終了します。

〔４〕交差機能による軌道の作成

モデルツリーで、ctrlキーを押しながら、押出し1とヘリカルスイープ1を選択し、モデルタブ＞編集グループ＞交差をクリックします。
交差部分にカーブが作成されます。
モデルツリーでctrlキーを押しながら押出し1とヘリカルスイープ1を選択し、非表示をクリックします。交差１で作成されたカーブのみが表示されます。

〔５〕コイルバネの作成

モデルタブ＞形状グループ＞スイープ＞スイープをクリックします。
ダッシュボードの参照タブを開き、軌道で交差1のカーブを選択します。必要に応じて紫色の矢印をクリックし、下図の向きに変更します。
ダッシュボードの「断面作成」をクリックします。「スケッチ」グループの「中心と点」をクリックし、図のように円をスケッチします。
直径を編集して 2.0 にします。「OK」をクリックします。右下の図が表示されるので、終了をクリックします。
らせんカーブに従って、下のような断面が五角形の押し出しサーフェスに沿った角Rのないコイルバネが作成されました。

【２】角Rがある角柱形状に巻き付いたコイルバネ

〔１〕押出しサーフェス形状の作成

例として、パレットを利用して、図の様な断面が五角形の押し出しサーフェス形状（五角形は1辺が20mm、高さ70mm）を作成し、角部にラウンドR3を追加します。
形状が判別しやすくなるように、フィルター＞キルトにて五角形の外観を赤に変更します。

〔２〕事前準備

この部分は、前述の【１】[2]をご確認下さい。こちらの軸設定と距離情報を流用します。

〔３〕らせん状スイープフィーチャーの作成

グラフィックウィンドで「隠線」表示に切り替えます。
モデルタブ＞形状グループ＞スイープ＞ヘリカルスイープをクリックします。ダッシュボードの参照タブを開き、ヘリカルスイーププロファイル＞定義をクリックし
スケッチ平面としてデータム平面：RIGHT を、参照としてデータム平面：TOP 回転方向：上＞スケッチをクリックします。
スケッチタブ＞スケッチグループ＞線のチェーンをクリックし、上から下に、図の寸法の垂直な線を作成＞OK をクリックします。
この垂直線は、角Rを作成する前の、角部の位置になります。
つまり、上記【１】[3](4)とほぼ同じ位置に垂直線を作成します。
ダッシュボード＞ピッチを8.0＞サーフェスとしてスイープをクリックします。
ダッシュボード＞参照タブ＞回転軸＞[2](1)で作成したデータム軸A_1 をクリックします。
ダッシュボードにて、スイープ断面をクリックしスケッチグループ＞線のチェーンをクリックし、下図のように
上記の垂直線の端点を通過する寸法値の水平線を作成します。
この寸法は、先の[2](2)に従って五角形の断面中心から一番離れている部分の距離（17.0130mm）以上かつ、
一番近い部分の距離（13.7638mm）以下となる水平線であり、五角形の全ての側面を貫通する水平線になっています。
OK にて、スケッチを完了します。
下図のようならせんサーフェスが表示されます。ビューの角度を変更して、らせんサーフェスが五角柱の全ての側面を貫通していることを確認します。
グラフィックウィンドで「エッジ付きシェード」表示に切り替えます。
終了をクリックし、ヘリカルスイープを終了します。

〔４〕交差機能による軌道の作成

モデルツリーで、ctrlキーを押しながら、押出し1とヘリカルスイープ1を選択しモデルタブ＞編集グループ＞交差をクリックします。
交差部分にカーブが作成されます。
モデルツリーでctrl キーを押しながら、押出し1とヘリカルスイープ1を選択し非表示をクリックします。
交差１で作成されたカーブのみが表示されます。

〔５〕コイルバネの作成

モデルタブ＞形状グループ＞スイープ＞スイープをクリックします。
ダッシュボードの参照タブを開き、軌道で交差1のカーブを選択します。必要に応じて紫色の矢印をクリックし、下図の向きに変更します。
ダッシュボードの「断面作成」をクリックします。「スケッチ」グループの「中心と点」をクリックし、図のように円をスケッチします。
直径を編集して 2.0 にします。「OK」をクリックします。右下の図が表示されるので、終了をクリックします。
らせんカーブに従って、下のような断面が五角形の押し出しサーフェスに沿った角Rがあるコイルバネが作成されました。